広報予算の立て方|費用項目と配分の考え方
広報予算の立て方を解説。広報にかかる費用項目の全体像、内製と外注の配分、予算規模の目安、KPIと連動した配分、費用対効果の見方まで、BtoB企業の広報担当向けに実務目線で整理します。
「広報にいくらかければいいのか」「この予算配分で合っているのか」――広報担当者や経営者が頭を悩ませるテーマです。広報は売上に直結しにくく、効果が見えにくいため、予算の根拠を説明しづらい領域でもあります。
この記事では、広報予算の立て方を、費用項目の全体像から配分の考え方、KPIとの連動まで、BtoB企業の実務目線で解説します。予算の根拠を経営層に説明しなければならない方、これから広報に本格投資しようとしている方にお読みいただけます。
なぜ広報予算の根拠づくりが難しいのか
広報は「投資」と「費用」の両面を持ちながら、その効果を短期で数値化しにくい領域です。広告のようにCPAや直接ROIが出ないため、「広報の予算はいくら必要か」という問いに答えるのが難しい。
しかし、広報を「なんとなく」の予算感で運用していると、効果が出たかどうかも判断できず、予算を削られやすくなります。費用項目を可視化し、目的・KPIと連動させた根拠ある予算づくりが、広報担当者に求められるスキルです。
💡 ポイント: 広報予算の根拠は「この施策にいくらかかるか」という積み上げと、「この施策でどんな成果が期待できるか」というKPIの両方で構成します。どちらか片方だけでは説得力が出ません。
広報にかかる費用項目の全体像
まず、広報にどんな費用がかかるかを網羅的に把握します。広報費を「見えないコスト」にせず、項目ごとに可視化することが予算管理の出発点です。
人件費
広報担当者の人件費(内製の場合)。フルタイムの広報担当者を置く場合は、給与・社保・交通費などをすべて含めた総人件費で見ます。
広報担当者一人の年間人件費は、役職・経験によって大きく異なりますが、600万〜1,000万円超になることもあります。外注費より高くなるケースも多いため、内製と外注のコスト比較では必ず人件費を含めて試算します。
外注費
PR会社・広報代行への委託費用(→ 広報代行・PR会社の選び方)。月額リテーナー(顧問契約)、プロジェクト単位の費用、成果報酬型などモデルはさまざまです。
月額の相場感は会社・サービス範囲によって異なりますが、スタートアップ向けの小規模支援で月15〜30万円程度、本格的な広報支援で月40〜100万円以上が一般的です。
配信費
プレスリリース配信サービスの費用(→ プレスリリース配信サービスの選び方)。PR TIMESや@プレスなどの主要サービスは、月額プランや都度配信など複数の料金体系があります。月に何本配信するかによってコストが変わります。
- 月3〜5本配信する場合:月額プランが割安になるケースが多い
- 月1〜2本の場合:都度課金の方がコスト効率が良いことも
制作費
コンテンツ・素材の制作費用。
- 写真・動画制作(代表者写真、製品画像、プロフィール画像、プロモーション映像)
- プレスリリース・ホワイトペーパーの制作・デザイン
- オウンドメディアの記事制作(ライター費)
- 調査レポートの設計・制作費
イベント費
記者会見・発表会・プレスイベントの開催費用(→ 記者会見・発表会の開き方)。会場費、飲食・懇親費、音響・映像設備、資料印刷などが含まれます。
オンライン化でコストは下がりましたが、重要な発表では対面の記者会見を選ぶケースも依然あります。
ツール費
広報に必要なソフトウェア・ツールの費用。
- メディアリスト管理ツール
- プレスリリース配信プラットフォーム
- 競合・メディア監視ツール(後述)
- 効果測定・分析ツール
その他
調査・データ作成(調査会社への委託費)、ノベルティ・プレスキット制作、広報勉強会・セミナーへの参加費、書籍・情報収集費など。
広報予算規模の目安
広報予算に絶対的な正解はありませんが、考え方の軸があります。
売上やマーケ予算からの逆算
マーケティング予算全体の中で広報をどう位置づけるかで決める方法です。一般的にBtoBのマーケティング予算は売上の5〜10%程度とされ、その中の広報への配分は業種・フェーズによって異なります。
目的からの積み上げ
達成したい目的に必要な施策を洗い出し、それぞれのコストを積み上げる方法です。「今期中にメディア掲載10件を達成する」という目標であれば、必要なPR会社支援・イベント・リリース本数から逆算できます。
フェーズで変える
- 立ち上げ期:外注比率を高めて速く立ち上げ、ノウハウを蓄積する
- 安定期:内製比率を上げてコスト最適化、外注はスポットで
- 成長加速期:採用拡大・新市場進出に合わせて投資拡大
スタートアップなど予算が限られる場合は、優先順位を絞ることが重要です(→ ひとり広報の始め方)。
内製と外注の配分
実務では多くの企業が「コアは内製、専門性や立ち上げは外注」というハイブリッドに落ち着きます。
| 観点 | 内製 | 外注(PR会社) |
|---|---|---|
| 専門性 | 自社理解が深い | メディアコネクションがある |
| コスト | 人件費(固定) | 委託費(変動可) |
| スピード | 立ち上げに時間 | 即戦力になる |
| ノウハウ | 社内に蓄積される | 委託先に残る |
| 継続性 | 属人化リスクあり | 担当交代リスクあり |
内製に向いている業務:日常的な情報発信・SNS運用・社内ネタ収集・メディア関係者との関係維持
外注に向いている業務:メディア開拓・プレスイベント企画・危機対応・特定専門分野のPR
✅ 実践ポイント: PR会社との契約は「何をどこまでやってもらうか」の範囲定義が重要です。あいまいなままだとコストが膨らみ、効果も測定できなくなります。KPIを委託契約に盛り込むことで、費用対効果の説明が楽になります。
KPIと連動させて予算を正当化する
予算は、成果指標と連動させると説明しやすくなります。「なぜこの予算が必要か」を目的とKPIで説明できる状態が理想です。
目的→KPI→施策→予算の順で設計する
- 目的を決める:今期の広報で何を達成するか(認知拡大・採用強化・信頼構築・指名検索増加)
- KPIを設定する(→ 広報担当者のKPI設計):メディア掲載件数・指名検索数・採用応募数など
- 必要な施策を洗い出す:KPI達成に必要なプレスリリース本数、イベント回数、PR会社支援など
- 施策のコストを積み上げる:項目別に見積もりをとって予算に落とす
この順序で設計すると、「○○を達成するために△△が必要で、それには□□円かかる」という論理が通った予算説明ができます。
広報KPIの例
| 目的 | KPI例 |
|---|---|
| 認知拡大 | メディア掲載数・リーチ・UU増加 |
| 採用強化 | 採用関連の媒体掲載数・応募経路比率 |
| 信頼構築 | 指名検索数・SNSメンション数 |
| 営業支援 | 商談での認知率・ブランド好感度 |
費用対効果の見方
広報のROIは広告のように直接測りにくいですが、見る努力はできます。
露出の量と質
掲載件数だけでなく、どのメディアにどんな内容で掲載されたかの「質」も重要です。ターゲット顧客が読む専門メディアへの1件の掲載は、マス媒体の10件より価値があることも。
指名検索の変化
ブランド名や会社名の指名検索数の増減は、広報効果の間接指標になります。大型メディア掲載後に指名検索が増えるパターンを観察します(→ PR効果測定の基本)。
商談での認知率
営業担当者に「商談時に相手が会社を知っていたか」を記録してもらうことで、広報の営業への貢献度を把握できます。
採用への貢献
採用媒体への応募経路に「メディアを見て」が増えているか、面接での認知理由を把握するといった方法で、採用コスト削減効果を測れます。
単年で判断せず、中長期の積み上げで見ることが重要です。
⚠️ 注意: 「広報の費用対効果が測れない」ことを理由に予算申請を諦めないでください。効果が見えにくい分、「測る仕組みを作ること」自体が広報担当者の腕の見せどころです。指名検索・採用応募・商談認知率など、間接的な指標を複数組み合わせて説明しましょう。
コストを抑える工夫
限られた予算で成果を出すには、効率化が欠かせません。
情報収集の自動化
競合・業界の情報収集を手作業でやると人件費がかさみます。ReAnker(リアンカー) のような低コストのツール(月額300円、無料プランあり)で情報収集を自動化すれば、その分の時間を企画や関係構築という付加価値の高い業務に回せます。
競合の動きやメディア動向を毎朝把握することで、タイムリーなネタ出しと発信タイミングの最適化が可能になります。
コンテンツの使い回し
一つのコンテンツ・調査データを複数の用途に展開することで制作費を抑えられます。
- 調査データ → プレスリリース・オウンド記事・SNS投稿・営業資料
- 事例インタビュー → 記事・動画・スライド・プレスリリース
タイミングの工夫
記者発表会は開催コストが高いため、複数の発表をまとめて一度のイベントで実施するか、オンライン発表に切り替えることでコストを抑えられます。
まとめ
広報予算は、費用項目を洗い出し、内製と外注を配分し、目的・KPIと連動させて根拠を持たせる――これで「なんとなく」の予算から脱却できます。
ポイントを整理します。
- 費用項目を可視化する:人件費・外注費・制作費・ツール費を網羅的に把握
- 目的→KPI→施策→予算の順で設計する:論理的な予算申請ができる
- 内製・外注のバランスを最適化する:フェーズに合わせて組み合わせる
- 費用対効果は中長期で見る:指名検索・採用・商談認知を間接指標に
費用対効果を中長期で見ながら、限られた予算を賢く配分しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 広報予算はどうやって決める? A. まず費用項目(人件費・外注費・配信費・制作費・イベント費・ツール費など)を可視化し、目的→KPI→施策→予算の順で積み上げます。売上やマーケ予算からの逆算、目的からの積み上げ、フェーズに応じた配分といった軸で考えます。「この施策にいくらかかるか」と「どんな成果が期待できるか」の両方で根拠を示します。
Q. 広報の費用対効果はどう説明する? A. 広報は広告のように直接ROIが出にくいため、指名検索の変化、商談での認知率、採用への貢献などの間接的な指標を複数組み合わせて見ます。露出は件数だけでなく、どのメディアにどんな内容で載ったかという質も重要です。単年でなく、中長期の積み上げで判断します。
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この記事を書いたチーム
ReAnker編集部
競合・PR動向モニタリングSaaS「ReAnker(リアンカー)」の開発・運営チーム。 PR TIMESとGoogle Newsを毎日監視するプロダクトの知見をもとに、広報・マーケティング担当者向けに競合監視とPR実務の情報を発信しています。 記事は公開後も定期的に見直し、事実関係・料金情報を更新しています(編集ポリシー)。
