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pr-and-publicity·2026年6月5日

PR効果測定の基本|露出本数からビジネス指標への接続

PR・広報の効果を、露出本数・広告換算費・認知率・行動と事業貢献の4段階で測定する実務フローを解説。SOV 算出、月次レポートの作り方、採用効果まで含めた指標設計を整理します。

#PR効果測定#広報#露出#ROI

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「PRの効果は数値化が難しい」と言われ続けてきましたが、現代のBtoB広報は マーケと同レベルの測定 が可能です。むしろ、効果測定の仕組みがないと、広報部門の予算が削られる時代 になっています。

この記事では、PR効果を測定する4段階フレームを、現場で使える形で詳細に解説します。露出本数の集計、AVE(広告換算費)の計算、ブランド認知率調査、Webサイト・リード・採用への貢献測定、競合との比較(SOV)、月次レポートの作り方まで網羅します。

なぜPR効果測定が必要か

測定しないと起きること

  • 経営層から「広報って何やってるの?」と聞かれて答えに窮する
  • 予算交渉で根拠が示せず、毎年予算が減る
  • 自分の貢献が見えず、キャリア成長の方向性も曖昧
  • 「PR施策を継続すべきか」が判断できない

測定すると起きること

  • 経営層から 「広報は事業貢献している部門」 と認識される
  • 予算が増える、人員も増やしやすい
  • 施策の選択と集中ができる(伸びる施策に投資、伸びない施策をやめる)
  • 採用・営業との連携が進む

4段階の効果測定フレーム

PR効果は4段階に分けて測定するのが標準です。

段階 指標 測定難易度 経営への説得力
1. 露出 露出本数、リーチ 易 低
2. 換算 広告換算費(AVE)、PR Value 易 中
3. 認知・態度 ブランド認知率、好感度 中 高
4. 行動・事業貢献 サイト訪問、リード、商談、受注 中〜難 最高

下に行くほど難易度は上がりますが、事業貢献に直結する ため経営層への説得力が増します。

「段階1だけ」で報告すると、経営層は「で?それで売上は?」となります。段階1〜4を組み合わせて報告する のが、現代の広報の標準スタイル。

段階1:露出指標

最も基本的な指標。集計の手間は少なく、定例の数字として継続報告できます。

露出本数

媒体別に集計します。

カテゴリ 媒体例
大手紙 日経、朝日、読売、毎日、産経
業界紙 自業界の専門紙(日刊工業新聞、流通ニュースなど)
オンラインメディア Yahoo!ニュース、ITmedia、TechCrunch Japan、Business Insider Japan
TV WBS、ガイアの夜明け、ニュース番組
ラジオ J-WAVE、TBSラジオ、ニッポン放送
雑誌 東洋経済、ダイヤモンド、プレジデント
業界誌 自業界の専門誌
ブログ・SNS拡散 個人ブログ、X、LinkedIn

集計の粒度

  • 月別・四半期別・年別
  • 媒体タイプ別
  • 媒体名別(個別媒体のシェア)
  • リリースごとの取り上げ本数

リーチ

各媒体の発行部数 / UU / 視聴率を露出本数に掛けて算出。

総リーチ = Σ(各媒体の本数 × 媒体UU)

リーチ算出のサンプル

媒体 露出本数 月間UU リーチ
日経電子版 2 5,000万 1億
Yahoo!ニュース 5 8,000万 4億
ITmedia 3 1,500万 4,500万
業界紙 4 50万 200万
合計 14 — 5億4,700万

リーチは「理論値」なので、すべての読者が記事を見たわけではない点に注意。指標として参考程度 に使い、行動指標(段階4)で実態を補完します。

露出本数の集計方法

方法 コスト 工数 網羅性
自社で手動チェック 0円 高 低
Googleアラート 0円 中 中
競合リリース監視ツール 月数百〜数千円 低 中〜高
クリッピングサービス 月10〜30万円 低 高
大手クリッピング代行 月30〜100万円 低 最高

詳細は /compare で比較していますが、個人・小規模チームには ReAnker のような月額300円から使えるSaaSが現実解。

段階2:広告換算費(AVE: Advertising Value Equivalency)

「もしこの露出を広告で買ったら、いくら相当か」を計算する指標。

計算式

AVE = Σ(露出スペース × 媒体の広告単価)

AVE の単価目安

媒体 単価目安
全国紙の朝刊1段 50〜100万円
業界紙の半5段 30〜80万円
オンラインメディアの記事1本 30〜80万円
Yahoo!ニュース掲載 100〜300万円
TVニュース30秒 100〜500万円
TV情報番組5分 1,000〜3,000万円

AVE の使いどころ

  • 経営層向けレポート で「広告に換算すると年間◯億円相当の露出」とアピール
  • 予算交渉で「広報部の活動が広告費に換算するとこれだけの価値」と示す
  • ROI 計算で「広報予算◯◯円に対してAVE◯◯円、◯倍の効率」

AVE の限界

AVEはあくまで参考値 で、PR本来の信頼性・第三者性は反映されません。

  • 「広告」と「第三者の記事」では信頼度が違う
  • 同じ露出でも、批判的な文脈ならマイナスのはずがAVEはプラス計算
  • AVE係数(PR Value)を使うと多少補正できるが、根拠が曖昧

経営層への報告では使いますが、KPIとしては不十分。段階3・4と組み合わせて初めて意味を持ちます。

段階3:認知・態度変化

ここから一段階上がります。「露出した結果、どれだけ知ってもらえたか」「どう思われているか」を測定します。

ブランド認知率調査

四半期に1回、外部調査会社(マクロミル、クロス・マーケティング、ネオマーケティング等)に依頼。

測定する指標

  • 純粋想起率:「◯◯業界で思いつく企業を3社挙げてください」で名前が出る率
  • 助成想起率:「以下の企業を知っていますか」リストでの認知率
  • 好意度:「最も好印象なのは?」
  • 検討意向:「今後利用したいのはどこ?」
  • 競合との比較(SOM: Share of Mind)

コスト

  • 簡易調査(n=300):30〜50万円/回
  • 標準調査(n=1,000):50〜100万円/回
  • 詳細調査(n=3,000、属性分析あり):100〜200万円/回

費用はかかりますが、事業貢献の最も明確な証拠 になります。

推移を見る

四半期 純粋想起率 助成想起率 検討意向
2025 Q4 5% 28% 12%
2026 Q1 7% 32% 14%
2026 Q2 9% 38% 16%

3〜4ポイントずつ上昇していれば、PRが機能している証拠。

検索ボリューム推移

Google トレンドで自社ブランド名の検索ボリュームを月次測定。メディア露出のあった月にスパイクが出るか を確認。

Google Search Console との連動

  • ブランド名検索数(impressions)の月次推移
  • CTR の変化(露出後の関心度)
  • 関連クエリの増減

計測のサンプル

月 露出本数 ブランド検索数 リファラル流入
2026/03 8本 1,200 2,500
2026/04 15本 1,850 4,200
2026/05 12本 2,100 3,800

露出本数とブランド検索数が連動して伸びていれば、PRの認知効果が出ています。

段階4:行動・事業貢献

ここが最も価値が高い指標です。「PRが売上にどう貢献したか」 を測定します。

Webサイトへの影響

計測する指標

  • リファラル流入(Yahoo!ニュース、業界メディアからの流入)
  • ブランド名検索流入
  • 直接流入の月次変化
  • 滞在時間・直帰率

GA4 での計測設定

計測項目 確認方法
リファラル流入 集客 → 参照元/メディア
ブランド検索 Search Console → クエリ
直接流入 集客 → ソース「(direct)」
リリース配信日のスパイク リアルタイムレポート、日次比較
滞在時間・直帰率 行動 → ページとスクリーン

リード・商談化への貢献

計測方法

  • 「弊社のことをどこで知りましたか?」アンケート(営業面談時、フォーム)
  • リード獲得フォームの「貴社を知った経緯」項目
  • CRMの「ソース」タグに「メディア露出」を加える
  • リード獲得日と過去30日の露出を紐付け

これらを徹底すると、「PRリード→商談→受注」のファネル が見える化します。

計測のサンプル

月 全リード PR経由リード PR商談化数 PR受注金額
2026/03 120 8 3 150万円
2026/04 150 18 7 420万円
2026/05 145 22 9 580万円

「PR経由リードの商談化率」が他チャネルより高いことが多く、最も質の高いリード源 であることが多いです。

採用への影響

採用は 広告換算費の数倍 のROIが出ることが多く、経営層へのアピールに使えます。

計測指標

  • メディア露出があった月の応募数
  • 「貴社を知った経緯」での「メディア記事」回答率
  • 内定承諾率(露出多月 vs 少月)
  • 経営者インタビュー記事後3ヶ月の応募数推移

計測のサンプル

月 露出本数 経営者インタビュー 応募数 「メディア記事きっかけ」率
2026/03 8 0 25 15%
2026/04 15 2 38 28%
2026/05 12 1 32 32%

経営者インタビューが採用応募を引き上げているのが見えれば、PR の採用効果が証明できます。

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競合のSOV(Share of Voice)測定

SOVは、業界内で自社が占めるメディア露出シェア。広報の 質的KPI の中で最も重要 な指標の一つです。

計算式

SOV = 自社露出本数 ÷ (自社 + 主要競合5社の合計露出本数) × 100

SOV の目安

業界内ポジション SOV目安
業界トップ 30〜50%
大手の一角 20〜30%
中堅 10〜20%
新興・スタートアップ 5〜10%

10%を下回ると業界内での存在感が薄い状態。目標値は「現状 +5〜10ポイント / 年」 が現実的です。

SOV測定の手順

  1. 競合5〜10社のリストアップ
  2. 各社の月次露出本数を集計(自社含む)
  3. 業界キーワードでの言及も含める
  4. 媒体タイプ別に分解(一般紙・業界紙・オンライン・TV)

これを毎月手動でやるのは現実的でない。

競合露出の集計方法

方法 工数
競合企業名でGoogleニュース検索(手動) 高(5社で1〜2時間/月)
競合のPR TIMES企業ページ巡回 高
クリッピング代行に依頼 月10万円〜
競合リリース監視ツール(ReAnker など) 月数百円

ReAnker のような専用ツールで自動監視するのが効率的です。月額300円から、競合企業を登録するだけで毎朝1通のメールで動きが届きます。月次のSOV集計が一気に楽になります。

詳細は 競合調査を自動化する方法 を参照。

レポートの作り方

月次レポートは 1ページで まとめます。長くなると経営層が読まなくなります。

月次レポートの構成

  1. 露出本数(前月比・前年同月比)
  2. AVE合計(参考値)
  3. 注目記事3本(タイトル + リンク + 写真)
  4. SOV(業界内シェア)
  5. マーケ貢献(リファラル流入・ブランド検索数)
  6. 採用貢献(応募数の推移)
  7. 来月の重点テーマ・計画
  8. 課題・要相談事項

レポートのフォーマット例

====================================
広報月次レポート 2026年5月
====================================

【ハイライト】
- 露出本数:42本(前月比+15%)
- AVE:4,500万円相当
- SOV:18%(業界5位、前月+2pt)
- ブランド検索数:2,100(前月+12%)

【トップ3記事】
1. [日経クロステック特集]●●(URL)
2. [ITmedia連載第1回]●●
3. [PR TIMES発][転載数28本]●●

【マーケ貢献】
- リファラル流入:3,800(+18% vs 前月)
- PR経由リード:22(+22%)
- PR経由商談化:9件(+29%)
- PR経由受注見込:580万円

【採用貢献】
- 当月応募:32名
- 「メディア記事きっかけ」率:32%(+4pt)

【来月の計画】
- 6月15日:●●発表(メディアキャラバン実施)
- 6月20日:業界調査リリース
- 6月最終週:採用イベント露出強化

【相談事項】
- 競合A社の動向(●●に注力中)、差別化メッセージの強化検討
====================================

経営層が3分で読めるか が、レポート設計のチェック基準です。

レポートの「だから何」を必ず書く

数字だけ並べるレポートは読まれません。「だから何をするか」 までセットで書きます。

例:

  • 「リファラル流入が18%増 → 6月は同様の記事ターゲットを継続」
  • 「業界紙Aの露出が不足 → 6月にメディアキャラバン実施」
  • 「採用効果が見えた → 経営者インタビューを四半期1本ペースに増やす」

ありがちな失敗

失敗1:AVEだけで判断

AVEは参考値であり、経営判断には不十分。行動・事業貢献まで踏み込んだ測定 が必要。

失敗2:競合との比較なし

自社の露出だけ見ても、業界内のポジションは分かりません。SOVを必ず含める。

失敗3:採用効果を見落とす

PRは採用への波及効果が大きい。「採用応募 × ソースタグ」 で必ず測定する。

失敗4:マーケ貢献を測らない

GA4のソース別レポート、CRMのソースタグを徹底して、PR経由のリード・商談を可視化する。

失敗5:レポートが長い

経営層は3分で読みたい。1ページに圧縮する規律が大事。

失敗6:毎月同じレポート

数字を並べるだけでなく、「だから何をするか」 までセットで報告する。

失敗7:露出本数だけ追う

「100本配信して50本転載」で満足してしまうと、質が見えなくなります。SOV・好意的比率・特集化数を並行して見る。

業界別の追加指標

IT・SaaS

  • アプリ・ツール紹介ブログでの言及数
  • GitHub の Star 数推移(OSS関連の場合)
  • Hacker News・Product Hunt での反響

金融・保険

  • 機関投資家向けメディアでの言及
  • IRイベントへの登壇数
  • アナリストレポートでの言及

食品・小売

  • レシピサイト・口コミサイトでの言及
  • インフルエンサーマーケの効果
  • 店頭での認知率調査

教育・人材

  • 業界カンファレンスでの登壇数
  • 大学・専門校でのゲスト講義依頼数
  • 受講者の応募数推移

効果測定の自動化

PR効果測定はやることが多く、属人化しやすい領域。可能な限り自動化します。

自動化の優先順位

  1. 露出本数の収集:競合リリース監視ツール・クリッピングサービス
  2. Webサイト指標:GA4 + Looker Studio で月次自動レポート
  3. ブランド検索:Search Console と GA4 の連携
  4. AVE 計算:露出本数 × 単価のスプレッドシート自動化
  5. 競合SOV:競合リリース監視ツール で自動集計

ツール構成例

領域 ツール
露出収集 ReAnker / クリッピング代行
Web指標 GA4 / Google Search Console
競合監視 ReAnker / Brandwatch
レポート自動化 Looker Studio / Google Sheets
認知率調査 マクロミル / ネオマーケティング

まとめ

  • PR効果測定は「露出 → 換算 → 認知 → 行動・事業貢献」の4段階
  • AVEは参考値、メインKPIにしない
  • SOVは競合露出の集計も必要、自動化すると運用が安定
  • 採用への波及効果まで含めて報告
  • 月次レポートは1ページに圧縮、「だから何」までセットで
  • 業界特性に応じた追加指標も検討

PR効果測定は 「広報部門の生存戦略」 です。数字で語れない広報は、経営から見ると「コスト部門」に見えてしまう。最初は完璧でなくていいので、まずは月次1ページレポートから始めることをおすすめします。

関連:広報担当者のKPI設計 / 広報担当者が見るべき競合情報 / メディアリレーションの作り方 / プレスリリースの書き方

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