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btob-marketing·2026年6月29日

BtoB SaaSのマーケファネル設計|AIDA から PLG まで使い分け

BtoB SaaS のマーケファネル設計を、AIDA・AARRR・PLG の3モデルで整理。プロダクト特性に応じた選び方と、各ステージの KPI、離脱率改善のコツまで解説します。

#BtoB SaaS#ファネル#AIDA#AARRR#PLG
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BtoB SaaSのマーケファネルは「営業主導かプロダクト主導か」で大きく変わります。自社プロダクトの特性に合わないファネルを選ぶと、施策が空回り します。

「リード獲得はできているが商談化が低い」「無料トライアル登録は増えたが有料転換しない」「ファネルの数字が見えていない」——これらは、自社のビジネスモデルに合ったファネル設計ができていない ことが原因です。

この記事では、3つの代表的なファネルモデル(AIDA、AARRR、PLG)を比較し、選び方と KPI 設計、離脱率改善まで詳細に整理します。

なぜファネル設計が重要か

ファネル設計がないと起きること

  • 各ステージのKPIが曖昧で、改善ポイントが見えない
  • 営業とマーケのKPIがズレる
  • 経営層に説明できない
  • 離脱率が高いステージが放置される
  • 施策の優先順位がつかない

ファネル設計があると

  • 各ステージの数字で改善判断できる
  • マーケ・営業・CS が同じ目線で議論
  • ROI の計算が可能
  • 投資すべきステージが明確
  • データドリブンな運営

モデル1:AIDA(伝統型)

Attention → Interest → Desire → Action の4段階。広告・営業中心の伝統的BtoB SaaSに向きます。

AIDA ファネル

ステージ 主な施策 KPI
Attention 広告、PR、展示会 インプレッション、リーチ
Interest LP訪問、資料DL サイト滞在、DL数
Desire 商談、提案 商談化率
Action 契約 受注金額

AIDA が向くプロダクト

  • 単価が高い(年間契約数百万円〜)
  • 営業主導のクローズが必要
  • エンタープライズ向け
  • 検討期間が長い(3〜12ヶ月)
  • 意思決定者が複数

AIDA のKPI設計例

月間Attention:100,000インプレッション
↓ CTR 2%
月間Interest:2,000サイト訪問
↓ CV率 5%
月間リード:100件
↓ 商談化率 20%
月間Desire(商談):20件
↓ 受注率 30%
月間Action(受注):6件

モデル2:AARRR(グロースハック型)

Acquisition → Activation → Retention → Revenue → Referral の5段階。プロダクト体験を中心に据える モデルで、フリーミアム・無料トライアル提供のSaaSと相性が良い。

AARRR ファネル

ステージ 意味 KPI
Acquisition ユーザー獲得 新規登録数
Activation 初期体験完了 アクティベーション率
Retention 継続利用 28日後の継続率
Revenue 課金 有料転換率、ARPU
Referral 紹介 NPS、紹介経由登録

AARRR が向くプロダクト

  • セルフサーブ型
  • 月額数千〜数万円
  • 無料プラン or 無料トライアルあり
  • 個人 or 小チームで意思決定
  • プロダクト主導の成長

Activation の KPI 設計例

業界 アクティベーション指標
SaaS(ツール系) 登録後7日以内にメイン機能を1回使った
SaaS(コラボ系) 登録後14日以内に2人目のメンバーを招待
マーケ自動化 登録後30日以内に最初のキャンペーン配信
分析ツール 登録後7日以内に最初のレポートを作成
プロジェクト管理 登録後7日以内に5タスク以上を作成

「最初の体験」を数値化して、その通過率を上げるための施策を考えるのがAARRRの肝です。

AARRR の改善優先順位

  1. Activation率の改善(最も影響大)
  2. Retention率の改善
  3. Acquisition の効率改善
  4. Revenue(有料転換率)の改善
  5. Referral の仕組み化

モデル3:PLG(プロダクトレッドグロース)

Product Led Growth。プロダクト自体が主要な獲得・転換チャネル になるモデル。Slack、Notion、Figma などが代表例。

PLG の特徴

  • 無料で使えるプロダクトの範囲が広い
  • ユーザー自身がプロダクトを社内で広めてくれる
  • 有料転換のトリガーは「機能制限」または「人数制限」
  • マーケと営業の依存度が低い
  • バイラル係数(K Factor)が重要

PLG ファネル

ステージ KPI
Sign up 登録数
Activation TTV(Time To Value)
Habit 週次アクティブ率
Expand 招待人数、利用機能数
Convert 有料転換率
Expand revenue ARPU、シート数

PLG が向くプロダクト

  • 個人または小チームで意思決定できる
  • 軽量で導入が早い
  • 無料でも価値を体験できる
  • バイラル性(誰かが使うと他の人も使う)
  • ネットワーク効果

PLG の主要指標

  • TTV(Time To Value):価値を感じるまでの時間。30秒〜数分が目標
  • K Factor(バイラル係数):1ユーザーが何人を呼ぶか
  • PQL(Product Qualified Lead):プロダクト使用から有料転換候補
  • Net Dollar Retention:既存顧客からの収益拡大率

ファネル選定のチェックリスト

以下の質問で、向いているモデルが見えてきます。

質問 回答 → 推奨モデル
主要な意思決定者は1人?複数? 1人なら PLG / AARRR、複数なら AIDA
無料で価値を体験させられる? できるなら PLG / AARRR、できないなら AIDA
単価は月数千円?年数百万? 前者は PLG、後者は AIDA
営業リソースは潤沢? あれば AIDA、なければ PLG
検討期間は短い?長い? 短いなら PLG、長いなら AIDA
バイラル性はある? あれば PLG、なければ AIDA / AARRR

ハイブリッドモデル

実際の BtoB SaaS は、複数モデルを組み合わせるケースが多い。

  • PLG + 営業:個人セルフサーブで導入、エンタープライズは営業対応
  • AARRR + ABM:セルフサーブ中心、大口顧客は ABM で個別アプローチ
  • AIDA + フリーミアム:営業主導、無料プランで認知獲得
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ステージごとの「離脱率」を見る

どのモデルでも、ステージ間の離脱率を可視化 することが第一歩です。

離脱率の目安

ステージ間 目安
訪問 → 登録 5%以上
登録 → Activation 30%以上
Activation → 有料転換(PLG) 5%以上
MQL → 商談化(AIDA) 10%以上
商談 → 受注(AIDA) 20〜30%

最も離脱が多いステージから順に改善するのが、ファネル最適化の王道です。

離脱率改善の施策例

離脱ステージ 改善施策
訪問 → 登録 LP改善、CTA強化、フォーム項目削減
登録 → Activation オンボーディング動画、初期チュートリアル
Activation → Retention プッシュ通知、定着メール、サクセスコール
Retention → 有料転換 機能制限の体験、価格訴求
商談 → 受注 提案資料、リファレンス、トライアル

競合のファネルも観察する

自社のファネル設計と並行して、競合がどんなファネル設計をしているか も観察しておくと参考になります。

観察すべきポイント

  • 無料トライアルの条件(カード登録要 / 不要)
  • アクティベーションを促す導線(オンボーディングメール、社内チュートリアル)
  • 有料転換時の価格表示の見せ方
  • フォームの項目数
  • LP の構成・コピー
  • 紹介プログラムの有無

競合の新機能リリースや価格改定は、自社ファネルの優位性を見直すシグナル になります。プレスリリース・ニュースの動向は ReAnker のような 競合リリース監視ツール で自動監視できます。月額300円から運用可能。

規模別のファネル設計

スタートアップ初期(〜10名)

  • 推奨モデル:AARRR
  • 焦点:Acquisition + Activation
  • ツール:Google Analytics、MA(軽量)
  • KPI:MAU、Activation率

シリーズA以降(10〜100名)

  • 推奨モデル:AARRR + ABM
  • 焦点:Activation + Revenue + Retention
  • ツール:HubSpot、Salesforce、専用 Analytics
  • KPI:MRR、Churn、NRR

グロース期以降(100名〜)

  • 推奨モデル:PLG + AIDA(エンタープライズ)
  • 焦点:全方位
  • ツール:Marketo、Segment、Looker
  • KPI:ARR、CAC、LTV/CAC、Magic Number

ありがちな失敗

失敗1:自社プロダクトに合わないモデル選定

エンタープライズ向けなのにAARRRを採用 → リード獲得しても受注しない。対策:プロダクト特性を客観的に評価。

失敗2:離脱率を見ていない

「リード増えてます」だけで、どこで詰まっているか分からない。対策:ステージ間離脱率の週次・月次レビュー。

失敗3:複数モデルを混在させる

明確な選定なしに施策をやって混乱。対策:メインモデルを1つ決め、補完的にハイブリッド化。

失敗4:KPIが多すぎる

毎月20指標見て分析麻痺。対策:北極星指標 + 5〜7のサポート指標に絞る。

失敗5:競合動向を見ない

自社ファネルだけ最適化、競合の打ち手を見落とす。対策:競合監視を月次で。

まとめ

  • BtoB SaaSのファネルは AIDA / AARRR / PLG の3モデル
  • 単価・意思決定者数・無料体験可否で選ぶ
  • ステージ間離脱率を必ず可視化
  • 競合のファネルも観察対象にする(競合リリース監視ツール で自動化)
  • 規模・フェーズに応じたファネル設計が必要

ファネル設計は 「データドリブンな経営の土台」。設計が雑なまま施策を打っても、何が効いて何が効いていないか分かりません。最初の1ヶ月は施策を増やす前に、ファネル設計と KPI 整備に投資する価値があります。

関連:BtoBマーケティングの基礎 / BtoBナーチャリングの設計 / BtoBマーケのKPI設計 / BtoBカスタマーサクセスとマーケの連携

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