RFM分析とは|やり方・セグメント分け・活用例をわかりやすく解説
RFM分析とは何かを解説。Recency(最終購入日)・Frequency(頻度)・Monetary(金額)の3指標、顧客のランク分け、セグメント別の施策、メリットと限界、実務での進め方まで、わかりやすく整理します。
すべての顧客に同じ対応をしていては、リソースが分散します。誰が優良顧客で、誰が離れかけているのか――それを購買データから見極めるのがRFM分析です。古典的ながら、今もCRMの基本手法として使われています。
この記事では、RFM分析とは何か、3つの指標、顧客のランク分けと施策、メリットと限界を詳しく解説します。
RFM分析とは
RFM分析は、顧客を3つの指標でランク分けし、優良顧客や離反顧客を見極める手法です。1980年代にダイレクトマーケティングの世界で生まれ、現在もCRMやマーケティングオートメーションの基盤として広く使われています。
行動データ(購買履歴)に基づく、行動的セグメンテーションの一種です(→ 市場セグメンテーションとは)。顧客の「属性」ではなく「行動」で分類するため、実際のビジネス価値に直結した分析ができます。
💡 ポイント: RFM分析の最大のメリットは「今手を打つべき顧客」が分かること。「昔はよく買っていたが最近来ない顧客」を見つけて再活性化する施策は、新規獲得より低コストで高い成果を上げることが多いです。
3つの指標
R:Recency(最終購入日・最近いつ来たか)
最後に購入・利用したのはいつかを測ります。
- 新しいほど良い:直近に購入した顧客は、製品・サービスへの関心・満足が高い状態にある
- 逆に古いほど離反リスクが高い:長期間接触のない顧客は離れかけている可能性がある
SaaSでのRecency:最後にログインした日付、最後に主要機能を使った日付などで代替できます。
F:Frequency(購入頻度・どれくらいよく来るか)
一定期間内に何回購入・利用したかを測ります。
- 多いほど良い:頻繁に利用する顧客は、製品・サービスが日常業務に定着している
- 1回のみは要注意:購入後の定着が進んでいない可能性がある
SaaSでのFrequency:月間ログイン回数、機能の利用回数、コンテンツの閲覧頻度などで代替できます。
M:Monetary(購入金額・いくら使ったか)
一定期間内の合計購入金額(または契約額)を測ります。
- 多いほど良い:高い金額を使う顧客は事業へのコミットメントが高く、LTVも高い
- 低いほど改善の余地がある:アップセル・クロスセルの機会を探る
SaaSでのMonetary:月額契約金額(MRR)、有料プランのランク、追加オプションの購入状況などで代替できます。
スコアリングの方法
各指標を一定のランク(例:5段階)に分け、組み合わせて顧客を分類します。
5段階スコアリングの例
各指標を1〜5点でスコアリングし、高いほど良いとします。
| スコア | Recency | Frequency | Monetary |
|---|---|---|---|
| 5 | 30日以内 | 月10回以上 | 100万円以上 |
| 4 | 31〜60日 | 月5〜9回 | 50〜100万円 |
| 3 | 61〜90日 | 月2〜4回 | 20〜50万円 |
| 2 | 91〜180日 | 月1回 | 5〜20万円 |
| 1 | 181日以上 | 0〜1回/月 | 5万円未満 |
※数値はビジネスの特性に合わせて設定する
スコアの組み合わせ例
- R=5, F=5, M=5 → 最優良顧客(ロイヤルカスタマー)
- R=1, F=5, M=5 → 離反しかけの優良顧客(要注意)
- R=5, F=1, M=1 → 新規・有望顧客(育成が必要)
- R=1, F=1, M=1 → 休眠顧客
顧客のセグメント分類
RFMスコアを組み合わせて、顧客を代表的なセグメントに分類します。
| セグメント名 | 特徴 | R | F | M |
|---|---|---|---|---|
| ロイヤルカスタマー | 最も価値の高い顧客 | 高 | 高 | 高 |
| 有望顧客 | 最近来た購入可能性の高い顧客 | 高 | 低 | 低 |
| 定着顧客 | 定期的に購入するが単価が低め | 中 | 高 | 中 |
| 離反リスク顧客 | 以前は優良だったが最近来ない | 低 | 高 | 高 |
| 休眠顧客 | 長期間接触のない顧客 | 低 | 低 | 低 |
| 新規顧客 | 最近初めて来た顧客 | 高 | 低 | 低 |
セグメント別の施策設計
ランクに応じて、打ち手を変えます。同じコストをかけるより、セグメント別の最適な施策を打つことで、ROIが大幅に向上します。
ロイヤルカスタマー(R高・F高・M高)
最も大切にすべき顧客です。
- 維持・特別対応:専任担当者の配置、VIPプログラムへの招待
- アップセル:より上位のプランや新機能の早期提案
- 紹介・事例協力:信頼関係を活かして紹介プログラムや事例化を依頼(→ 顧客ロイヤルティとは)
- コミュニティ活動:ユーザーコミュニティでのリーダー的役割
離反リスク顧客(R低・F高・M高)
以前は優良顧客だったが、最近来ていない顧客です。「昔は買っていたが最近来ない」という状態を放置すると完全離反につながります。
- 再活性化アプローチ:「最近お見かけしないので連絡しました」という個人的なコンタクト
- 状況確認ヒアリング:何かあったか、不満はないかを確認
- 特別オファー:限定的な割引や特典で戻ってきてもらう動機付け
- カスタマーサクセスによるフォロー:利用再開を支援するハンズオン
⚠️ 注意: 離反リスク顧客へのアプローチは、いきなりセールス色の強い接触をすると逆効果です。まず「状況確認」「価値提供」から入りましょう。
新規・有望顧客(R高・F低・M低)
最近来たばかりで、まだ定着していない顧客です。この段階でうまく関係を構築できるかどうかが、その後のLTVを左右します。
- オンボーディングの強化:使い方を丁寧に説明し、最初の成果を早く体験させる
- 関係構築コンテンツ:活用事例・ヒントの提供
- マイルストーン確認:「1ヶ月後の状況はいかがですか」という確認
休眠顧客(R低・F低・M低)
すべてのスコアが低い顧客です。回収コストを考慮した効率的なアプローチが必要です。
- 低コストの掘り起こし:自動化したメールシーケンスでのタッチ
- 再獲得オファー:特別な再導入プランの提案
- 優先度の低下:他のセグメントに集中し、休眠顧客には最小限のコストをかける
- クレンジング判断:一定期間全く反応がなければ、CRMのアクティブリストから外すことも検討
✅ 実践ポイント: RFM分析の最も大きな効果は「どこに力を入れるべきかの優先順位が明確になること」です。全顧客に同じコストをかけるのをやめ、セグメント別に最適なリソース配分を決めましょう。
限られたリソースを、価値の高い顧客に集中できます。パレートの法則(上位顧客が売上の大半)とも通じます(→ パレートの法則とマーケティング)。
BtoBでのRFM分析の特徴と工夫
BtoBは、BtoCと比べてRFM分析の適用に工夫が必要です。
購買頻度が低い問題
BtoBの高額サービスでは、年1〜2回の更新が「高頻度」の場合があります。「Frequency」をそのまま適用すると、BtoB顧客の多くが低スコアになります。
工夫の方法:
- ログイン頻度、機能利用回数など「利用頻度」で代替する
- 会議・レビューへの参加回数、担当者とのやり取りの頻度を加える
単一の意思決定者でない問題
BtoBでは複数の担当者が製品を使います。「顧客企業」単位でスコアリングすることが重要です。
- 担当者個人ではなく、アカウント(企業)単位で集計する
- 利用ユーザー数の増減もRFMスコアに組み込む
「エンゲージメントスコア」として使う
厳密なRFMにこだわらず、BtoBに合った「ヘルスコア」「エンゲージメントスコア」として使うことも有効です。
- Recency:最終ログイン日
- Frequency:月間アクティブ日数 / 機能使用数
- Monetary:現在の契約額 / 利用席数
LTVとの関係
RFM分析は「現在の」顧客価値を見るのに対し、LTVは「将来も含めた」価値を見ます(→ 顧客生涯価値(LTV)とは)。
RFMで優良顧客を見極め、LTVを高める施策につなげる、という流れが有効です。
- RFMスコアが高い顧客:LTVが高い傾向 → 維持・拡大に投資する
- RFMスコアが下がっている顧客:将来LTVが下がるサイン → 早期介入で防ぐ
実務での進め方
ステップ1:データを整備する
CRM・MAにRFM分析に必要なデータが揃っているかを確認します。
- 顧客ごとの購買・利用履歴
- 最終接触日
- 累計購入額・現在の契約額
データがバラバラのシステムに散在している場合は、まず統合から始めます。
ステップ2:スコアリング基準を決める
「自社のビジネスにおいてR/F/Mの何が重要か」を踏まえて、スコアリング基準を設計します。業界・商材によって適切な基準は異なります。
ステップ3:セグメントに分類して施策を設計する
全顧客をセグメントに分類し、各セグメントへの施策を設計します。すべてのセグメントに同時に対応する必要はありません。まずロイヤルカスタマーと離反リスク顧客から着手するのが一般的です。
ステップ4:定期的に更新する
RFM分析は一度やって終わりではありません。月次・四半期での更新と、施策の効果測定を繰り返します。
メリットと限界
メリット
- データがあればすぐ実践できる(特別なツールが不要)
- 優良顧客・離反顧客が一目で分かる
- 施策の優先順位が明確になる
- CRM・MAと組み合わせて自動化できる
限界
- 過去の購買しか見ない:未来の可能性や顧客満足は測れない
- 購買頻度の低い商材には不向き:高額・低頻度のBtoB商材では工夫が必要
- 理由が分からない:なぜ離反したかはRFMだけでは見えない → NPSやインタビューと組み合わせる(→ NPS(ネットプロモータースコア)とは)
- 顧客の将来性が見えない:スタートアップなど、将来大きく成長する顧客が低スコアになる場合がある
RFM分析と競合の顧客施策監視
自社のRFMセグメントを改善するには、競合がどのような顧客維持・再購買施策を打っているかを参考にすることも有効です。競合のキャンペーンや新サービス発表から、ロイヤル顧客へのアプローチ方法のヒントが得られます。
ReAnker(リアンカー)なら、競合のPR TIMESプレスリリースとGoogle Newsの報道収集を毎日自動化できます。競合のロイヤルティプログラムや顧客向け施策の発表を継続的にチェックし、自社のRFM改善策の参考にできます。無料で使えるフリープランのほか、月額300円(税抜)のスタンダードプランも用意されています。
まとめ
RFM分析は、最終購入日・頻度・金額の3指標で顧客をランク分けし、優良顧客や離反顧客を見極める手法です。セグメント別に施策を変え、リソースを価値の高い顧客に集中できます。
過去データに基づく点の限界を理解し、LTVや満足度の視点と組み合わせて活用しましょう。BtoBでは利用データを活用した「ヘルスコア」としての応用が、特に効果的です。
よくある質問(FAQ)
Q. RFM分析とは何ですか? A. 顧客をRecency(最終購入日)・Frequency(購入頻度)・Monetary(購入金額)の3指標でランク分けし、優良顧客や離反顧客を見極める手法です。属性ではなく行動データに基づく、行動的セグメンテーションの一種です。
Q. RFM分析でどんなことができますか? A. ロイヤルカスタマー・離反リスク顧客・新規/有望顧客・休眠顧客などのセグメントに分類し、それぞれに最適な施策を打てます。全顧客に同じコストをかけるのをやめ、価値の高い顧客にリソースを集中できるのが最大の効果です。
Q. BtoBでもRFM分析は使えますか? A. 使えますが工夫が必要です。購買頻度が低くなりがちなため、ログイン頻度や機能利用回数などの「利用頻度」で代替し、担当者個人ではなくアカウント(企業)単位で集計するとよいでしょう。厳密なRFMにこだわらず「ヘルスコア」「エンゲージメントスコア」として使う応用も有効です。
関連記事:市場セグメンテーションとは / パレートの法則とマーケティング / 顧客生涯価値(LTV)とは / 顧客ロイヤルティとは
この記事を書いたチーム
ReAnker編集部
競合・PR動向モニタリングSaaS「ReAnker(リアンカー)」の開発・運営チーム。 PR TIMESとGoogle Newsを毎日監視するプロダクトの知見をもとに、広報・マーケティング担当者向けに競合監視とPR実務の情報を発信しています。 記事は公開後も定期的に見直し、事実関係・料金情報を更新しています(編集ポリシー)。
