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pr-and-publicity·2026年6月1日

取材対応の基本|聞かれる前に準備しておく7つのこと

メディア取材を受ける際の準備と当日の振る舞いを解説。事前準備7項目、想定QA、メッセージ3本柱、答えにくい質問への対応、撮影対応、取材後フォローまでの実務フローを整理します。

#メディア取材#広報#PR#取材対応

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メディア取材は 「準備で8割決まる」 と言われます。同じネタでも、準備した経営者と即興で答えた経営者では、記事の質が大きく変わる。「取材は受けたものの、出来上がった記事が想定と違った」という経験を持つ広報担当者は多いはず。

この記事では、取材対応の準備と当日の進め方を、現場で使える形で網羅的に整理します。事前準備7項目、当日の振る舞い、答えにくい質問への対応、撮影対応、取材後フォロー、業界別の留意点まで、広報・経営者・営業責任者の方が現場でそのまま使える知識をまとめました。

なぜ事前準備が重要か

取材対応の成功・失敗は、当日の話し方より 事前準備の精度 で決まります。具体的には:

準備不足の取材で起きること

  • 想定外の質問に動揺し、不正確な情報を口にしてしまう
  • 業界数字を聞かれて答えられない
  • 競合の動向を知らず「業界感のない経営者」と思われる
  • 経営戦略について、社内合意のない発言をしてしまう
  • 取材後に「こんな質問されると思わなかった」と振り返る

これらは すべて準備で防げる 問題です。

準備した取材で起きること

  • 自社が伝えたいメッセージを軸に話せる
  • 業界数字・他社事例を引用して説得力が出る
  • 想定外の質問にも落ち着いて対応できる
  • 「業界に詳しい経営者」「準備された会社」という印象を与える
  • 記事化された時、引用箇所が 自社の意図通り になっている

事前準備の7項目

1. 取材意図の確認

取材依頼を受けたら、まず以下を確認します。

確認項目 詳細
媒体・記者 媒体名、記者の署名記事の傾向
取材の主題 特集 / 単独取材 / 業界全体記事の一部
公開予定日 取材から公開までの期間
想定質問 事前に箇条書きでもらえるか
写真撮影の有無 経営者写真、社内写真の撮影
公開前の原稿確認 「ファクトチェック」として確認可能か
取材時間 30分 / 60分 / 90分
同席者 記者1名 / 記者+カメラマン / 編集者も同席

「想定質問」を事前にもらえるか で、準備の精度が変わります。媒体によっては事前送付NGの場合もありますが、最低でも 「メインで聞きたいテーマ」 は確認します。

2. 媒体・記者リサーチ

取材を受ける媒体・記者を必ずリサーチします。これが甘いと、記者の関心と自社のメッセージがズレた取材になります。

リサーチ項目

  • 媒体の最近の記事5本 を読む(テーマ・トーン・読者層)
  • 記者の署名記事10本 を読む(記者の関心・切り口)
  • 記者のXアカウント をチェック(普段の発信内容)
  • 過去の競合企業への取材記事 を確認(同様のテーマの取材傾向)
  • 媒体の編集方針(経済紙か業界紙か、ビジネスかカルチャーか)

15〜30分の調査で、記者の関心と切り口の傾向が見えます。

リサーチの実践例

たとえば日経クロステック の取材を受けるなら:

  • 同媒体のSaaS関連記事を5本読む
  • 記者氏名でGoogle検索、過去記事を確認
  • 「この記者は数字を重視する」「事例を入れる傾向」などの特性を把握
  • 競合A社が同媒体に取材された記事があれば必読

3. メッセージの3本柱を準備

「この取材で伝えたい3つのこと」を事前に決めておきます。

3本柱の作り方

柱 内容例
柱1:業界視点 業界課題に対する自社の独自視点
柱2:自社実績 自社の成長を示す具体数値
柱3:提言 業界全体への提言・未来予測

どんな質問が来ても 3本柱に紐づける よう答えるのが、効くインタビューのコツ。

3本柱の使い方

たとえば「事業の今後の展望は?」と聞かれたら:

「業界全体として◯◯という課題があります(柱1)。当社は過去1年で◯◯%の成長を実現し、◯◯顧客が増えています(柱2)。今後は業界全体で◯◯の方向に進むべきで、当社もその一翼を担います(柱3)。」

すべての回答を3本柱に絡めることで、記事化された時のメッセージの一貫性 が保たれます。

4. 想定QA作成

「100%聞かれそうな質問 + 答えにくい質問」を合わせて 20〜30問 想定します。

想定質問のカテゴリ

カテゴリ 想定質問例
事業概要 主力サービス、ターゲット、ビジネスモデル
創業ストーリー なぜ起業したか、転機、苦労
競合との違い 差別化ポイント、なぜ選ばれるか
業績 売上高、成長率、顧客数
今後の戦略 3年後の姿、新規領域、海外展開
業界課題への見解 業界全体の動向、規制、AI など
失敗・課題の認識 過去の失敗、現在の課題
経営者の個人的背景 趣味、座右の銘、影響を受けた人
採用・組織 社員数、採用戦略、カルチャー
答えにくい質問 株主構成、競合の批判、内部問題

各質問に対して キー数字 + 具体エピソード + 提言 の3点セットで回答を準備。

想定QAシートのフォーマット例

質問: 競合と何が違いますか?

【キー数字】
- 業界平均のCAC: 30万円
- 当社のCAC: 8万円(業界平均の1/4)

【具体エピソード】
- 顧客A社(製造業・従業員200名)の事例:
  導入3ヶ月で売上向上、競合と比較した結果当社を選択

【提言】
- 業界全体で「コスト効率を高めるツール」が求められている
- 当社はそのトレンドの最前線にいる

5. 言ってはいけないことの整理

NGトピックリスト

  • 未公開のIR情報
  • 競合他社の批判
  • 顧客の固有名詞(許可なし)
  • 社員の固有名詞(許可なし)
  • 想定外の数値(不確実な業績見込み)
  • 政治・宗教・社会問題への踏み込み
  • M&A・資金調達の進行中案件
  • 訴訟・係争中の事項
  • 退職者・元従業員の話題

「NGリスト」を取材前に経営層・法務と確認しておきます。「言ってはいけないこと」を明文化しないと、当日うっかり口にしてしまう リスクがあります。

NGトピックを聞かれた時の対応テンプレ

トピック 回答テンプレ
未公開IR 「現時点では開示できる情報がありません」
競合批判 「他社様のことは存じ上げないので、当社の取り組みについてお話しします」
顧客名 「お客様の許可が得られていないので、業界・規模感だけお伝えします」
業績見込み 「正式な業績見込みは決算発表でお伝えします」
訴訟事項 「係争中の案件についてはコメントを控えさせていただきます」

6. 競合・業界の最新動向の把握

取材当日に 「最近の業界ニュース」 を聞かれることが多いです。「業界の動向についてどう見ていますか?」「競合A社が◯◯を発表しましたが?」など、業界感を問う質問は標準です。

把握すべき内容

  • 競合の直近1ヶ月のリリース・新サービス・人事
  • 業界の規制・行政動向
  • 海外の動向(同分野の海外スタートアップなど)
  • 業界調査・統計の最新公開分
  • 大手の参入・撤退

把握の自動化

これを毎回手動で確認するのは負荷が高い。広報1名で5〜10社の競合を継続監視する負荷は大きく、取材依頼が突然来た時にすぐ把握できない、というケースが多発します。

ReAnker のような専用ツールで自動監視しておくのが効率的です。月額300円から、競合・業界キーワードを登録するだけで、毎朝1通のメールで動きが届きます。取材前日に最新の動きを5分で確認できるので、想定外の質問にも対応しやすくなります。

詳細は 広報担当者が見るべき競合情報 と 競合調査を自動化する方法 で。

7. ロジ確認

地味ですが、当日のオペレーションがスムーズに進むかは、ロジ準備で決まります。

ロジチェックリスト

  • 取材場所・日時の確認(地図共有)
  • 必要機材(スライド、デモ環境、Wi-Fi)
  • 出席者と役割(経営者・広報・技術担当)
  • 写真撮影時の服装・背景
  • 取材後の食事の有無
  • 駐車場・最寄駅の案内
  • 当日の連絡先(記者・カメラマンの携帯番号)
  • 取材記録の方法(録音可否の事前確認)
  • 取材後の資料送付準備

当日の振る舞い

話し方の3原則

  1. 結論→理由→具体例 の順で話す
  2. 数字を入れる(「多い」より「3,000社」)
  3. 15秒で答え終わる ように短く

新聞・雑誌の場合、長い発言は引用しにくいため、短く強い一文 を意識します。

NG話し方の例

「我々はですね、その、業界全体としてはまあ大きな課題があって、いろいろなお客様からの声をいただいていて、それで弊社としてはずっと前からそういった課題に取り組んでいまして、その結果として最近ではかなり多くの企業様に使っていただいていまして……」

→ 結論・数字・具体例なし、引用できる箇所がない

OK話し方の例

「業界の課題は『コスト効率』です。当社は過去1年で導入企業を342社まで増やし、業界平均の半分のコストを実現しました。製造業のA社では、月次工数が30時間から5時間に減りました。」

→ 結論(業界課題)→数字(342社、半分のコスト)→事例(A社)が15秒以内に収まる

答えにくい質問への対応

即答できない質問

「現時点では正確に申し上げられませんが、後ほど確認してご連絡します」

→ 取材後に必ずフォローする

機密情報

「申し訳ありませんが、その点はまだ開示できる段階にありません」

→ 「いつ頃なら開示できるか」を補足するとフォローアップ取材につながる

競合の評価

「他社さんのことは存じ上げないので、当社の取り組みについてお話しします」

→ 競合の批判は絶対NG、自社の話に持ち込む

想定外の質問

3〜5秒沈黙して考えてから答える方が、内容が締まります。沈黙を恐れない のも上級者のテクニック。

失礼な質問・誘導質問

「今ご質問いただいた前提について、少し補足させてください」

→ 質問の前提が誤っている場合は、それを訂正してから回答

取材時のメモ取り

  • 自分が話したキーフレーズを記録(後で「言った言わない」の確認用)
  • 記者の質問の傾向を記録(次回取材の参考)
  • 補足資料が必要そうなトピックをメモ

取材時間の管理

時間配分 30分取材 60分取材 90分取材
雑談・関係構築 3分 5分 10分
事業概要 5分 10分 15分
取材主題(メイン) 15分 35分 50分
想定外の質問 5分 5分 10分
クロージング 2分 5分 5分

「取材時間が押している」場合、メイン主題を優先 し、追加質問は後日メールで対応する判断もOK。

取材後フォロー

当日中

  • 補足情報(数字・資料)をメールで送付
  • 写真撮影分の社内確認
  • 想定QAで答えきれなかった質問への補足
  • 取材時の発言メモを記者にシェア(「こう言いました」のリマインド)

公開前(原稿確認の機会があれば)

  • 数字・固有名詞の事実確認
  • ニュアンスの修正依頼
  • 表現の柔らかさ・強さの調整

「修正依頼」は最小限に。記者の編集権を尊重するスタンスが重要。

公開当日

  • 記事公開のお礼メール(記者へ)
  • 公式SNSで記事をシェア
  • 自社サイトに「メディア掲載」として掲載
  • 社内に共有(経営・マーケ・営業)

公開後1〜2週間

  • 反響データの収集(ブランド検索、リファラル流入、問い合わせ)
  • メディアへの反響共有(「記事きっかけで◯件問い合わせがありました」)

公開後1ヶ月

  • 「あの記事きっかけで◯◯がありました」とフォロー
  • 次のネタの仕込み
  • 取材記者との関係を継続する

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写真撮影のコツ

経営者写真は記事の印象を大きく左右します。

服装

  • 白系シャツ + ジャケット が無難(背景に映える)
  • 派手なネクタイ・ストライプは避ける
  • 女性経営者はジャケット + シンプルなインナー
  • ノーネクタイOKだが、襟は整える

表情

  • 硬すぎず、笑顔の場合は控えめに
  • 「ちょっと考えている」表情も好まれる
  • カメラマンの指示に素直に従う

姿勢

  • 背筋を伸ばし、視線はカメラかインタビュアー
  • 手元:自然に、過剰なジェスチャー禁止
  • 椅子に深く座らない(前のめり気味)

背景

  • 自社オフィスのロゴ・看板を背景に
  • 雑然とした背景は避ける
  • 自然光が入る場所がベスト

撮影前にやること

  • 髪型・服装の最終チェック
  • ジャケットのシワを取る
  • 顔のテカリを軽くおさえる
  • 表情の練習(鏡で軽く)

業界別の留意点

IT・SaaS

  • 数字(ARR、MAU、成長率)の準備必須
  • 技術用語と一般用語の使い分け
  • スクリーンショット・デモの準備

製造業

  • 工場見学・現場写真の手配
  • 製品の現物・サンプルの準備
  • 技術用語の解説資料

金融

  • 法令・規制の最新確認
  • IR情報との整合性
  • リスクファクターへの言及準備

食品・小売

  • 商品の試食・サンプル提供
  • 店舗・厨房の取材手配
  • 産地・原材料の説明資料

教育・人材

  • 受講者・卒業生の声(許可済み)
  • 受講料・カリキュラムの公式資料
  • 行政動向・統計データ

クライシス時の取材対応

平時とは別物。詳細は クライシスコミュニケーションの基本 を参照。

基本ルール

  • 取材は広報部で一括受付
  • 経営層・現場担当者への直撃取材を防ぐ
  • 「事実関係のみコメント、推測は控える」
  • 不明事項は「現在調査中」と明示

想定外の取材依頼への備え

突然の取材依頼にも対応できる体制を準備しておきます。

平時の準備

  • 想定QAシートの常時更新(月1回見直し)
  • メディア対応ガイドラインの社内共有
  • 経営者の取材対応研修(年1回)
  • 業界動向の継続把握(ReAnkerなどで自動化)

取材依頼が来てから2時間以内

  • 媒体・記者のリサーチ
  • 主題に応じたQA確認
  • 経営者のスケジュール確保
  • 想定外の質問への準備

まとめ

  • 取材は「準備で8割決まる」
  • 7項目の事前準備で記事の質が変わる
  • メッセージ3本柱を軸に、すべての回答を紐づける
  • 想定QA 20〜30問、NGリストを準備
  • 当日は「結論→理由→具体例」の短い回答を心がける
  • 競合・業界の最新動向を事前に把握しておく
  • 取材後のフォローで次のネタにつなげる
  • 業界・クライシス時の特性を理解しておく

取材対応は 「広報のキャリアを形作る武器」 です。1回の取材で大きな露出が出れば、その後のメディアリレーションも一気に楽になります。地道な準備の積み重ねが、ある日突然花開く領域なので、日々の備えを怠らないことが重要です。

関連:メディアリレーションの作り方 / プレスリリースの書き方 / 広報担当者のKPI設計 / クライシスコミュニケーションの基本

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